湿原の紹介

■ 菅平湿原とはこんな所

菅平のいわれ

 奈良時代に編纂された万葉集巻14の東歌の一首で、
「信濃なる 菅の荒野に ホトトギス 鳴く声聞けば 時過ぎにけり」
と詠われた“菅(スゲ)の荒野”は、ここ菅平高原だと言われています。
昔は“菅”が湿原一面に茂っていたことから“スゲの原”と呼ばれ、菅平の語源になったと考えられています。“菅”とは、茎が三角柱の形をしたカヤツリグサ科の植物で、ヨシのように大きくならず、大きいものでも1m位です。“菅”は菅笠の材料として有名です。

※「菅平のいわれ」には諸説ありますが、私どもが最も有力と考えている内容を記載しています。

菅平湿原誕生

 今から数万年前、旧四阿山が噴火して流れ出た溶岩が谷をせき止めて大きな湖が誕生しました。
その後、湖の水が流れ出したことで湖底が現れ、“菅”やヨシなどの植物が育ちました。
冷涼な気候の菅平高原では“菅”やヨシ等の植物は分解されずに泥炭層として堆積され、約千年前に菅平湿原が誕生したのです。泥炭の堆積速度は1年で1mm程度ですが、湿原自体の深さは計測できていません。

湿原の植物

 湿原を中心とする菅平高原の総面積は28.8平方キロメートル(根子岳・四阿山含む)と日本の面積の約1万3千分の一の地域に、日本の植物種(シダ類を含む)4,330種の約四分の一の1,066種が植生しています。
 2012年2月19日に本州最低気温となる-29.2℃を記録した菅平高原は、本州有数の寒冷な気候のため、北方系のカラフトイバラ、クロミサンザシやハナヒョウタンボクなどの珍しい植物が多く見られます。1971年には、ヤチアザミという新種も発見されています。
また、20mほどに成長する高木のハンノキやヤチダモが、湿原の主のように根を張っています。

湿原の生物

 初夏になると、赤い口の中を見せて「ギョギョシ」と鳴く、湿原を代表する鳥のオオヨシキリが飛来します。
また、ひとまわり小柄のコヨシキリも湿原を代表する鳥で、オオヨシキリの飛来から少し遅れて姿を見せてくれます。
春に巣作りをするエナガは、直径10㎝前後の球形のコケを使った巣を作るので、保護色となり人目につきにくく、中々見つけることができません。
似た名前のオナガは、四季を通して湿原北側周辺に生息し、群れになって飛ぶ青く長い尾が印象的な鳥です。繁殖時には、前年に生まれた番(つがい)の子どもが子育てを手伝います。親子愛あふれるその姿からヘルパーと呼ばれています。また、制空権意識が強く、自分より大型のハシブトカラス等にも果敢に戦いを挑みます。
シジュウカラ・コガラ・ヒガラの三兄弟のような名前の3種類のカラも、四季を通じて湿原を賑わしています。

 水中には、上田市指定天然記念物のクロサンショウウオが生息しています。毎年4月上旬~中旬にかけて湿原の水たまりに、アケビの果実のような形で数十個の卵を収めた白色不透明の卵のうを産みます。多くのサンショウウオの卵は透明で、同じ両生類のカエルとは卵の形が異なるため、見分けることができます。
 ヒョウモンチョウ(蝶)やオオルリボシヤンマ(トンボ)などの昆虫も多く、北海道や本州の寒冷地にしか生息していないエゾトンボにも会うことができます。

ここでご紹介したものは、菅平湿原の生態系の一部で、この他にもたくさんの植物や生物が、探訪者の皆さんをお待ちしています。



■ 菅平湿原を探索しよう!!

遊歩道・外周散策路

多くの方々に、菅平湿原を安全に散策していただけるように、全周1.2㎞の湿原遊歩道と同2.2㎞の外周散策路が整備されています。菅平湿原美観再生事業では、外周散策路の遊歩道橋の改修整備を行い、湿原の美しさを損なわない散策路に変わっていきます。

菅平高原自然館

今から数万年前の四阿山の火山活動によって誕生した菅平湿原の歴史や自然を紹介。また、2000m級の高山帯から湿原にかけて生息する動物、野鳥、昆虫や植物などを標本やジオラマ等でわかりやすく解説しています。


長野県上田市菅平高原1223-2276
TEL 0268-74-2438
料金 大人200円/児童・生徒100円 団体25名以上:大人160円/児童・生徒80円
開館日 6月1日~9月30日(午前9時~午後4時)
休館日 毎週火曜日

上田市 真田地区地域自治センター 産業観光課
長野県上田市真田町長7178-1
TEL 0268-72-2204